2013年3月26日火曜日

自費診療用カルテの行き先

製薬会社へ請求する為の自費カルテについては、レセプト作成時にプリントアウトしてもらい、CRCが受取ります。

ここからは大抵、CRCが処理します。

頂いた治験患者さんのレセプトの内容をチェック、コピーします。(一応原本は残しています)

氏名や生年月日等、個人を特定できる情報をマスキング(黒く塗りつぶします)し、それをまたコピー。

次に製薬会社への請求書を作成します。請求元は実施医療機関です。

これに、もらったレセプトの合計点数を記載、消費税込みの請求額を記載し完成。

マスキングした提出用のレセプトと請求書を持って院長印をもらいに、再び病院の担当者へ確認依頼。

院長印をもらい、写しを医事課へ提出して、原本を製薬会社のモニターさんに渡して(郵送して)終了です。

保険診療用カルテの行き先

月初め、保険カルテは通常通り社会保険診療報酬支払基金へ電送されます。

基金からすると検査や採血が無くなって急に請求額が減る事になりますし、何より患者が治験に参加している事を把握する必要が出てきます。

このお知らせ用紙が「治験概要」と呼ばれるもので、治験開始時、製薬会社から提供されるものです。

治験名や治験薬コード、製薬会社名等の情報に加え、患者の治験参加期間が記されたものとなります。

医事課では患者の明確な参加期間が分からないので、レセの時期に合わせてCRCから期間を連絡します。

長期に及ぶ試験だと、終了予定日を記載した同じものを毎月毎月使ってもらい、実際終了した月に、きちんとした終了日を連絡します。

治験の患者さんについて、医事課は通常のレセプト電送に加え、

①レセプト内特記事項欄への「薬治」の記載
②「治験概要」の添付

これについて、治験開始時、保険外併用療養費制度と共にCRCから医事課担当者へ説明します。

日を調整し、医事課担当者全員にプレゼンテーションする事もあります。

医療事務との関わり

医療機関は月初めに先月分のレセプト処理を行うので、治験の患者さんについても一緒に処理を行ってもらいます。

レセプトとは、その月に発生した全ての診療点数が記載された画面(印刷物)のことです。

月初めは事務の方々、かなり忙しそうです。

クリニックなどでは空いている診察室などをCRCの待機場所にさせて頂いている事が多いのですが、この時期は事務の方に占領されてしまってレントゲン室などに追いやられています(笑)

電子カルテの場合、大抵、患者さんの治験参加が決まるとカルテを2つに分けてもらいます。

保険診療用と自費診療用です。(自費用カルテを新たに作成してもらいます)

「治験期間中」は再診料などは保険診療用カルテへ、製薬会社に請求する項目は自費診療用カルテへそれぞれ入力します。

こうして自費カルテに入力された検査、画像診断、同種同効薬について10割、製薬会社に請求する事になります。

2013年3月25日月曜日

採血検査の請求について

「治験期間」内であれば、採血時の検査料も製薬会社の10割負担です。

採血をすると大体以下の項目について料金が発生します。

①血液採取料(静脈)
②採血実施料
③採血判断料

これは全て診療報酬点数という形で全国で統一されています。

医学通信社から出版されている「診療点数早見表」という分厚い本を参照。

SRL等検査会社のWebページからも検索出来ます。

治験では1点につき10円、プラス消費税(1の位切り捨て)が一般的です。

実施料は各検査項目ごとに違っていて、例えば総蛋白や中性脂肪など、生化学検査(Ⅰ)と呼ばれるグループは1つにつき11点、という風に決まっています。

判断料についても以下のように決まっていて、実施料とは異なり、それぞれ月1度しか取る事ができず、例えば免疫学的検査を2項目実施したとしても「免疫学的検査判断料」としてひとくくりで144点しか取れません。

○採血判断料○
・尿、糞便等検査判断料 34点
・血液学検査判断料 125点
・生化学的検査判断料(Ⅰ)、(Ⅱ) それぞれ144点
・免疫学的検査判断料 144点
・微生物学的検査判断料 150点

例えば患者さんが今月以下の項目について採血したとすると
・ALP
・γ-GT
・AST
・ALT
・LDL-C
・HbA1c

まず採血実施料(静脈)で12点。

次に実施料はそれぞれALPとγ-GTは11点、ASTとALTは17点、LDL-Cは18点、HbA1cは49点となります。

最後に判断料が
ALPからLDL-Cまで生化学的検査判断料(Ⅰ)で144点、HbA1cが血液学的検査判断料で125点となります。

合計で392点、3920円の消費税(5%)込で4116円、製薬会社へは4110円の請求となります。

クリニックだと検体処理は全て外注のところも多いので、採血実施料は決められた数字より少ないはず(採血実施料の何割かは検査会社の取り分になっているそうです)なのですが…

平気で実施料も製薬会社に請求する医療機関もあるようです。

病院側にごねられるとCRCとしても強く言えなくて…

この辺はグレーゾーンというか、製薬会社側もここまでチェックしていないところではあります。

2013年3月11日月曜日

保険外併用療養費制度 その5

有害事象が発生した場合

有害事象とは、治験薬(又は製造販売後臨床試験薬)を投与された被験者に生じたすべての疾病又はその徴候をいう。

と定義されています。

治験期間中にこんな事象が起こり、Dr.判断により治験薬の投与が中止される場合や、そのまま継続して様子を見る場合があります。

またお薬の投与が終わってから発生する場合も。

もし投与が中止された場合や投与終了後の場合は、それに関わる検査や投薬の費用は全額患者さんの3割負担(製薬会社負担なし)となります。

「治験期間」外だからです。

一方、治験薬の投与を継続、期間内であれば決まりに従い、決められた項目を製薬会社が10割負担します。

でも必要になった投薬の料金は患者さんの3割負担です。(治験薬と同じ効能や効果を持つ薬剤のみ製薬企業負担です)

これに対しても現場からのクレームは数々…

治験薬のせいでおかしくなったのにその薬代も出ないのか。すぐに投与中止するのは当たり前だ。等

うーん確かに。と思います。

これについてもグレーゾーンとされ、施設の要求通りに支払う製薬会社は多いです。

「治験薬との因果関係あり」と判断された有害事象の投薬料は払います等。

保険外併用療養費制度 その4

保険外併用療養費制度における「治験期間」の定義は以下です。

個々の治験参加患者の「治験薬の投与開始日から終了日までの期間」である。

実際、患者が治験に参加することになる「同意取得日」から投与開始日までの間と、投与終了日から治験終了までの間には時間があくことが多いです。

同意取得日に各検査をして、その結果が基準を満たしていれば来週から投与開始しましょうとか、治験薬を飲み終わって何日後かに最後の来院をして下さいとか。

定義に従えばこの前後期間は適応範囲外とするということです。

例えば治験薬投与前、同意取得後に治験に必要な検査を実施しても、通常診療内での行為となり、患者さんの3割負担、7割保険給付ということになります。

治験薬投与期間後も同様です。

これには反発する先生方が多いのも事実。

治験で決められている検査なのに製薬会社が負担しないとは何事だ。患者さんにどう説明すればいいんだ。等

医療現場の人間がこの、国で定められた制度を認識していない現実が多々見られます。

製薬会社の人もどうしても治験、やってもらいたいので…泣き寝入りですよね。

制度を破って「前後期間も負担します」というところが多いです。特に内資系。昔は当然の様に負担していました。

もちろん外資系はシビアですから制度通り。一切妥協しない傾向がみられます。

医療現場のスタッフ、特にDr.にこういう教育を施すのも我々SMOの役割である事は重々承知しています。

でもなかなか…難しいんですよね。。
製薬会社も出すってゆっちゃうし。。

最後に「治験期間」の留意事項

① 単回投与(1回ぽっきり)の場合は当日のみが「治験期間」
② 間歇投与(1週毎とか)の場合は投与開始日から投与終了日までが「治験期間」
③ 治験薬投与前にプラセボ(偽薬)や基礎薬剤を使用した場合はその期間も「治験期間」
④ 投与開始日当日(投与前)や投与終了日当日(投与後)までは「治験期間」
⑤ 飲み忘れなどで服薬期間が延びた場合でも最終服薬日が「治験期間」
⑥ 患者の来院途絶で脱落となった場合は最終来院日までが「治験期間」

保険外併用療養費制度 その3

この「保険外併用療養費制度」の対象となる「治験」の範囲について。

【対象となる試験】
① 患者を対象とする第Ⅰ相試験(例えば抗ガン剤。Ⅰ相から患者さんを対象とします)
② 第Ⅱ相試験
③ 第Ⅲ相試験
④ 長期投与試験(第Ⅱ相、第Ⅲ相試験に引続き実施される試験。長期投与の効果や副作用をみます)
⑤ 国からの指示により追加された試験

【対象とならない試験】
① 第Ⅰ相試験(健康人対象)
② 承認後に実施される抗ガン剤などの第Ⅲ相試験
③ 承認後に実施される第Ⅳ相試験(承認後の製造販売後臨床試験、使用成績調査、特定使用成績調査など)
④ 医師が自主的に行う臨床研究

分けられる理由としては、「承認取得のための臨床試験」であるかどうかです。

ただ健康人の第Ⅰ相試験については承認取得のための臨床試験に当てはまるのですが、そもそも保険診療でないため除外となっています。

保険外併用療養費制度 その2

では治験に参加する事で、製薬会社が払ってくれる部分と自分で払う部分、内訳はどうなっているのでしょうか。

※以下、保険で3割負担の患者さんの場合
※治験薬投与期間中
※同一施設内なら他科分も含まれる

【診察料】(初診料や再診料)
・患者さんの3割負担

【検査料】(治験に関わらず全ての)
・製薬会社の10割負担
・採血や聴力検査、心電図など
・内視鏡検査の麻酔薬や鎮痙薬の薬剤料も

【画像診断料】(治験に関わらず全ての)
・製薬会社の10割負担
・レントゲンやCTなど
・造影剤、バリウム透視検査後の下剤等の薬剤料も

【治験薬の料金】
・製薬会社の10割負担

【治験薬と同様の効能や効果を持つ薬(投薬、注射)の料金】(添付文書の記載)
・製薬会社の10割負担
・技術料(調剤料、処方料、注射料等)も製薬会社10割負担
・通常、治験薬の効果が分からなくなるので使用禁止とされている

【その他のお薬代】
・患者さんの3割負担

【処置・手術・麻酔、その他】
・患者さんの3割負担(検査・画像診断の際に用いた薬剤以外)

となります。

「患者さんの3割負担」の残り7割については「保険外併用療養費の保険給付」という名前で国が負担することになります。

患者さんは治験以外の用事が無い日には診察料の3割だけ、窓口で払うことになります。

同じ日に他科の受診もあり、うっかり何かの検査をしたのにCRCも会計も気づかずに患者さんに請求してしまう凡ミスもあります。(次回返金とか)

治験の来院以外の日に患者さんが来院、検査をしたのに患者さんからお金もらっちゃった等、慌ただしい病院などではよくあるミスです。

なかなかこの治験外併用療養費制度、医療事務の方でも結構手ごわい制度です。

余談ですが、治験薬処方に伴う技術料(調剤料、処方料、注射料等)は臨床試験研究経費(治験開始時、製薬会社から実施施設へ支払われる料金)に含まれていると解すべきで、改めて請求すべきではないとされています。

2013年3月8日金曜日

保険外併用療養費制度 その1

治験に参加すると、治験薬を投与している期間中は保険がきかない、自費診療扱いとなります。

治験薬はまだ国に認められていない薬となり、先進医療扱いとなるからです。

じゃあついでに治験に関係ない普段のお薬が出た時や、診察料も??と疑問に思いますが、、

現在の日本では1つでも自費扱いの診療があると、他のものも全部自費扱いにしなければいけない制度になっています。
(保険診療と自費診療を併用する「混合診療」は禁止されています)

これだと10割全部自分で支払ってまで治験に参加してくれる人、なかなかいませんよね…

そんなこんなで色々規制緩和がなされてきて、2007年、ついに「保険外併用療養費制度」が導入されました。

治験期間中は治験に関わるところだけ自費扱い、その他は保険がきく、という様に、禁止されている「混合診療」を例外的に認めようという制度です。

治験に関わるところ、というのは治験薬の費用や検査など。

では治験に入ると普段よりお薬も検査も増え、しかも自費で10割負担。やっぱりお金かかる…。
ということでこの部分は製薬会社が全額負担することになっています。

どんな内訳になっているのかを続きで説明します。

2013年3月6日水曜日

日本独自のGCP ~J-GCP~

被験者(治験を受ける人)のRight、Safety、Well Beingの精神に基づき
1996年4月、米バージニア州にてICH-GCP合意がなされました。

これにより日米EUで新ガイドラインの統一が行われました。

◎ICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)の仕組み

★日本:厚生労働省(MHLW)…行政
    日本製薬工業協会(JPMA)…業界

★米国:食品医薬庁(FDA)…行政
    米国研究製薬工業協会(PhRMA)…業界

★EU:欧州医薬品審査庁(EMEA)行政
    欧州製薬団体連合(EFPIA)業界

この3拠点間で合意されました。


これを反映させ、日本では今までのGCPを改訂、新GCPを1997年より施行しました。

これがJ-GCPです。

日本で治験を実施する以上、このJ-GCPに従う必要があります。

実はICH-GCPと少し違っていて、厳しすぎるという声も多々あります。
日本で治験が進まない原因とも。発生する資料や規制が多いのも事実です。

逆にICH-GCPには日本では求められていない項目があるのも事実。
英語の履歴書とか。

昨今、自国での開発品目が減少し、外資系製薬企業によるグローバル試験が増えつつあります。

症例報告書が英語、入力も英語、ということも増えてきました。

その場合、適正に試験が行われていたかを試験後にチェックしに来る「査察」も海外仕様となり、ICH-GCPの基準も満たさなければならない現状です。

査察官は海外から来るのでしょうか。。私はまだ厚労省のお役人さん(日本人)しか対応経験がありません。。

J-GCPはもちろん、ICH-GCPとの比較点やICH-GCPについても理解を深める必要があります。

また、やはり英語は避けて通れない。国際化の波は治験業界にも当然来ています。

治験の種類

今まで当然のように書いてきましたが、私が書く内容は第Ⅱ相、第Ⅲ相のお話です。
(当社で支援しているのがこの2つのみなので)


治験には第Ⅰ相試験(フェーズ1)から第Ⅳ相試験(フェーズ4)まであります。

第Ⅰ相から始め、第Ⅲ相試験のあとに国(厚生労働省)に承認申請を行い、
審査を経て承認されると「新薬」として製造・販売されます。

第Ⅳ相試験(フェーズ4)では主にMRさんなどによって副作用などについての製造販売後調査が行われます。


さて、よく男友達で「治験のバイトで高額の収入を得た」という話を聞きますが、これはほとんどが第Ⅰ相のことなんじゃないでしょうか。

1泊十何万という話も。

第Ⅰ相試験は「ファーストインヒューマン」といって、ヒトに初めて投与する試験です。

次世代への影響も確立されていないので、健康な成人男性を対象としています。

実際に患者さんでは無いので、効果の確認はしません。

お薬が身体の中でどのような動態をとるのか…

吸収、分布、代謝、排泄(それぞれの英語の頭文字をとって「ADME(アドメ)」といいます)について確認します。

実際に使われる様になる用量よりも多めに投与されることもあります。
入院し、朝から晩まで何度も血を採られます(笑)

この第Ⅰ相で安全性が確認できれば、実際の患者さんへの投与に移ります。

第Ⅱ相では少数の患者さんに投与、実際に使う用量を設定します。

第Ⅲ相では多くの患者さんに投与、有効性や安全性を確認します。

第Ⅰ相~第Ⅲ相は治験のルールである「GCP」に則って進めなければならず、我々のような専門スタッフの支援が必要になってきます。

噂では第Ⅳ相もGCP順守の傾向があり、将来的にSMOやCROが支援する事になるのかもしれませんね。

米やEUでは「治験」のみならず、様々な臨床試験(新薬の承認が目的でないものも)に対してこのICH-GCPが適応されているとのことです。

当社もその昔は第Ⅰ相も受託していました。専用の病院とも契約していたので。

あまり利益が出なかったのでクローズとなりましたが。。

コーディネーター側からしたら朝早いし泊まったりしなきゃいけないし、報酬も安い。
あまりやりたくないのが本音です。

2013年3月4日月曜日

CRCのジレンマ

CRCは臨床試験の最前線で、新薬の申請に必要なデータを収集しています。

特にSMOのCRCというのは「患者さんに接する機会のあるサラリーマン」です。

SMOというのは前回も説明した通り、治験を実施する施設(体制整備やDr.、その他スタッフ)への指導やお手伝いなどに携わるサービス業なのですが、薬の開発元である製薬会社からお金をもらっています。
(SMOは我々が支援すると治験が簡単に早く進みますよ~と製薬会社に営業する訳です)

患者さんが1名治験に参加するとウン十万円の利益があります。
(もちろん病院にも同程度の収入があります)

企業に勤めている以上はやはり「利益の追求」が第1です。
しかし…業務に慣れていくうち、段々葛藤が生まれ出しました。

「この患者さん、本当に治験向きなのかな…」
「治したくて頑張ってるのに治験入って大丈夫かな…」
「あと1症例で契約達成…同意説明が保険の勧誘みたいになってる…」等

そう思う理由は…
◎治験はほとんどがプラセボ(偽薬)を使うので、それに当たったら可哀そう。
◎発売前の薬なんて、自分の家族だったら絶対すすめない。

って感じなのです…

実際この様なジレンマに悩まされ、薬剤師へ転職していった同期もいました。

でも…患者さんから薬飲んでから調子良くなったよ~とか、
あなたに会えるから病院来るのとっても楽しみ☆とか。
孫の様に可愛がってくれたり、時にはときめいてくれたり(相手はおじいちゃんです)。

何か騙してる気がする…そんな葛藤を抱えつつも患者さんに支えられて続ける事が出来ています。

3年目くらいになると、遅いんですけど気付きました。

我々CRCに葛藤なんて抱く権限は無いんだった!って。

私たちはあくまでもDr.の右腕です。Dr.が選んだ患者さんなんですから、治験が最もその人に向いている選択肢なんです。

私たちはDr.と一緒に選んだ患者さんに、何としても治験に入ってもらい、新薬を試してもらわないとダメなんです。

そこにはもちろん利益も伴う。でもそれはオマケに過ぎないんです。
一生懸命仕事頑張って、気付けばお金が付いてきた。

企業のサラリーマンも医療従事者も一緒です。

ちなみに利益追求(病気の治療よりデータ優先)と医療従事者(病気の治療に専念)のジレンマに悩む同期は薬剤師になっても悩んでいました。

結局薬局も利益追求が主です(ジェネリックへの変更を促す、備品のセールス等)。

このジレンマを自分の中で上手く処理していく事が必要なんですね。

それが無理ならNPO法人に所属するしか無さそうです。

SMOの位置づけ(CROとの関係)

治験とは

製薬会社→→(治験の依頼)→→病院(クリニック)

という仕組みですが、製薬会社は常に開発品目を持っている訳ではありません。
薬の種というのはとても貴重なものです。

ですので開発部隊を常に雇用し続けるのはコストがかかり、効率的ではありません。

開発品目がある時だけ業務を外注すればいい。

その外注を一手に引き受けるのがCRO(Clinical Research Organizationの頭文字)という企業です。


一方病院の方も、普段の診療に加え治験業務も、、となるとかなり負担がかかります。

Dr.は当然、その他スタッフも一から知識を勉強したり、体制作りも大変です。

何から始めればいいの??!

これを解決するのが我々SMO(Site Management Organizationの頭文字)という企業です。

治験開始のコンサルティングから雑用まで引き受ける、いわゆる何でも屋さん的な感じでしょうか。

ただ、病院が直接SMOに委託する訳ではありません。製薬会社がSMOに委託します。

製薬会社がCROとSMOを使う場合、双方に費用を支払う訳です。いかに儲かっているかが分かります。

但し、製薬会社によってはCROもSMOすら使わないところもあるんです。

昔からのお抱えの施設やDr.だともう慣れたものなので、お手伝いが無くても出来るらしいです。

これはかなりのコスト削減になりますよね。

また、CROやSMOだけ抜きのパターンもあり様々です。

といってもやはりこの製薬会社、実施施設、CRO、SMOの4者契約が主流なのではないでしょうか。

CRCの移動と空き時間

各施設での患者さん対応について紹介しましたが、
これは症例の組入れ期間が終わって、患者の来院対応のみの場合です。

この時期が一番落ち着いている時期と言えます。

施設での対応が一通り終了すると、オフィスに戻ります。
(当社の勤務時間は9:00-18:00です)

対応が午前中だとどっかでランチしたり、ちょっとしたお買いものも出来ます。
営業さんみたいで、ある程度自由なのかもしれませんね。

帰社してから業務報告書なるものを記載したり、上司や同僚にその日の報告をしたりします。

ただの雑談でも、ひょんな事から自分のやった業務の問題点に気付く事が多いのです。
おしゃべり好きな人はある意味向いている職種と言えるでしょう。
施設のスタッフ始め同僚や上司に報告、連絡、相談の「ほうれんそう」がちゃんと出来る人ですからね☆


でも…
例えば患者さんの都合でどうしてもという場合、午前と午後に分かれてしまう時があります。
患者さんと患者さんの間が3時間とか空いてしまうのです。

大きい病院でCRCの待機場所や部屋がある場合はそこで待機となりますが、
小さなクリニックなどは間借り状態なので、居座る事も診察の邪魔になってしまいます。

一旦帰社するにも中途半端です。

こんな場合は近くのカフェや漫画喫茶で時間つぶし。

こっそり(CRC業務は機密事項が多いので)業務報告書を書いたりぼーっとしたりします。

結果的に終了時間が17時なんかになると、そのまま直帰も可能です。

治験コーディネーターの1日~某個人クリニック編~

・患者診察が10:00の場合
・看護師不在、Dr.が採血するパターン
・予約制でない

9:45 クリニックへ直行、白衣に着替え該当患者の採血スピッツと症例ファイルを準備

スタッフより患者来院の連絡あり

10:00 待合室にいる患者の元へ(受付のみ済ませておいてもらう)
    
☆前回から今回来院までの間の他科・他院受診有無の聴取
☆有害事象、併用薬変更有無の聴取
☆治験薬(空シートや未服薬分)の回収、併用薬の服薬状況確認
☆次回来院日の決定(次回までの処方錠数を数えておく)
☆自動血圧測定器にてCRCが血圧測定

尿検査があれば実施(妊娠検査だと診察前が望ましい)

負担軽減費の提供
    
スタッフへ診察の声がけ

Dr.と事前打合せ実施。
本日の実施項目と前回検査結果の確認依頼、事前聴取情報の伝達。

【診察】CRC立会い
☆併用薬の次回までの必要錠数の連絡(服薬が途切れないように)
☆治験用ワークシートへの最低限、必要事項記載依頼
☆採血
(治験薬処方についてはカルテ入力無し、ワークシート記載のみの運用)

診察終了
再度待合にて待機指示

◎次回来院日までの治験薬準備
◎院内処方の場合、併用薬も準備
◎返却された治験薬(空シートや未服用薬)の確認

待合室へ
CRCより患者へ必要書類や治験薬を交付、服薬指導補助

受付へ対応終了、会計依頼の声がけ

10:30 患者へ会計指示、患者帰宅


◎CRC待機場所にて治験用ワークシートの必要項目を鉛筆で下書き
◎手すきの時にDr.へ記載依頼
◎カルテ記載の事象があれば、有害事象に挙げるかどうかの確認
◎内容を症例報告書へ転記

次回来院日を院内共有カレンダーに書き込み、Dr.やスタッフ全員に周知

採血スピッツの遠心分離を実施

事前連絡をしてある検査会社担当者へ、分離後の検体を渡す。

11:30 患者対応終了


混んでる時は各待ち時間が長くなったり、会計でトラブッたりするともうちょっと長くなりますが大体こんな感じです。
患者さんが2人、3人と、かぶったりすることもあります。
検体の引き渡しは受付の方に頼む事も出来ます。

治験コーディネーターの1日~某市立病院編~

・患者診察が10:00の場合

9:15 病院へ直行、白衣に着替え該当患者の採血スピッツと症例ファイルを準備

9:30 待合室にいる患者の元へ(再来受付のみ済ませておいてもらう)

【中央検査受付にて採血の申込み】CRC立会い

【順番待ちの間】
☆前回から今回来院までの間の他科・他院受診有無の聴取
☆有害事象、併用薬変更有無の聴取
☆治験薬(空シートや未服薬分)の回収、併用薬の服薬状況確認
☆次回来院日の決定(次回までの処方錠数を数えておく)

【採血の呼出し】
☆採血に同行、実施担当者に治験用のスピッツを渡す
☆採血
☆止血の為5分程休憩。(特に血液凝固抑制剤服用中患者は十分止血する)
    
その他心電図等検査があれば同行

【診察受付へ診察の申込み】CRC立会い
10:00 診察室前にて待機指示、電光掲示板にて順番を確認
この間に自動血圧測定器にて血圧測定を指示

CRCは診察裏へ。該当患者のカルテをチェック、前回から異変等無いか確認する。

該当患者の順番が来たら患者が呼ばれる前にCRCのみ診察室へ。Dr.と事前打合せ実施。

本日の実施項目と前回検査結果の確認依頼、事前聴取情報の伝達。

【診察】CRC立会い
☆次回来院日の連絡
☆治験薬処方の際の次回までの必要処方錠数の連絡
☆併用薬の次回までの必要錠数の連絡(服薬が途切れないように)
☆治験用ワークシート、治験処方せんへの必要事項記載依頼

診察終了
再度待合にて待機指示

当日カルテ記載で何らかの事象があれば、有害事象に挙げるかどうかをDr.へ確認

患者と合流

【診察受付へ診察終了報告、次回予約の申込み、次回来院予約票の受取り】CRC立会い

会計受付、薬局前へ
患者に待機、清算指示

CRCにより薬局へ治験処方せん提示、調剤依頼

CRCにより会計担当者へ会計の申込み、質問への回答等

患者会計終了
CRCは薬局より治験薬受取り
CRCより患者へ必要書類や治験薬を交付、服薬指導補助、負担軽減費の提供

10:45 患者対応終了、患者帰宅

    
◎カルテ閲覧室にて治験用ワークシートを該当患者カルテへスキャン
◎薬局へ治験薬(空シートや未服用薬)の返却
◎CRC待機室にて本日の内容を症例報告書へ転記

【 】内は通常の院内の流れです。これに治験の作業が加わります。
混んでる時は各待ち時間が長くなったり、会計でトラブッたりするともうちょっと長くなりますが大体こんな感じです。
患者さんが同じ時間に2人など、対応がかぶったりすることもあります。

2013年3月2日土曜日

GCPができるまで

人体実験のルールが出来た経緯はざっくりこんな感じです。

①ナチスの人体実験を受け、1964年の世界医師会第18回総会にて「ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則」(俗にいう「ヘルシンキ宣言」)が制定。

②1970年頃から欧米諸国でこのGCPが誕生(=゚Д゚)

③遅ればせながら1989年10月、日本でもGCPが制定。

④1996年5月、基準を国際的に統一させよう!と、欧米日間で「ICH-GCP基準」についての国際的合意が成立。

厚生省はこれに際して薬事法(GCPが組み込まれている法律)を改正し、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(新GCP)を定め、1997年4月1日から施行されています(。・∀・)

新GCPはつい最近出来たんです。
私はまさにこの頃、治験コーディネーターデビューしています。

旧GCPよりももっと厳しくなったんですよ(。・・)

正直、旧GCPの時は…

患者さんは知らぬ間に治験に組み込まれていたり、なんと患者が捏造されていた事も一時ニュースになりました。

その頃日本では治験コーディネーターという存在も無く、製薬会社の社員が治験コーディネーターの様な役割をしていたと聞いています(=゚Д゚)

今のSMOや製薬会社で偉い椅子に座ってるのはそんなおじちゃん達ですね。

お薬の開発って大変です…

人体実験?!

治験とは治療実験の略とも言われていて、文字通り「人体実験」です(。・ω・。)

人体実験というとイメージはナチスだったり…普通に怖いですよね(。’A`)

戦争という名の元に数々の命が犠牲になり、皮肉にも医学は発展し、今の私達が支えられています(。-_-。 )
そんな医学は悪でしかありませんが。

でも…より良い医療の為に、人体実験は必要不可欠です。

そこでルールを決めよう!という事になったんです(。・o・。)ノ

実験を受ける人は
強制× →→ボランティア○

我こそは、という方に自由意志で参加してもらわなければいけない。

説明(インフォームドコンセント、略してICと言います)をきちんとした上で、同意を得る(署名)。

万が一、お薬のせいで健康被害があった場合の補償制度を設ける。

などなど…すごい量の項目が誕生しました(-∀-)

このルールがICH-GCP(アイシーエイチジーシーピー:Good Clinical Practiceの頭文字)

ICHはとても長いので割愛。業界ではみんなジーシーピーと呼んでいます。

治験に関する法律です。日本国憲法の薬事法の中に組み込まれています(。・・)ノ

現代の人体実験はとても倫理的なんです(-∀-)

2013年3月1日金曜日

治験コーディネーターって何?

治験コーディネーターは略してCRC(シーアールシー)と呼ばれています(●゚ω゚●)

英語のClinical Research Coordinatorの頭文字です。

一言でいうと、「治験を実施するドクターの助手」です(●・ω・)/

製薬会社はお薬の卵を何とか世に出したいのですが、本当に「効くのか」、「安全なのか」について厚労省に証明しなければいけません。

どうやって??

ドクターに治験をして欲しいと頼みに行くのです。その領域で権威のある先生だと尚よし。

そして何人かの患者さんに協力してもらい、人体実験(臨床試験と言います)をします(●´ω`●)ゞ

実際に薬を飲んでもらい、定期的に採血や体重測定、血圧測定などのデータを取らせて頂くのです(-@∀@)

この時、治験コーディネーターが患者さんへ治験について詳しい説明をしたり、精神的なケアや検査スケジュールの管理、頂いたデータの整理などを行います(@´・ω・)

元々はドクターが色々やっていたらしいのですが、普段の診療に加えて煩雑な業務が増えてしまうのでとてもとても進まない(;゚д゚)
という訳で我々の職種が誕生しました。

助手という感じです。但し、治験コーディネーターは医療行為を一切禁じられています(@´・ω・)

もちろんこの他にもいっぱいお仕事はあるので、、おいおい説明していきます(。・・)ノ

書き初め

はじめまして(`・ω・´)

治験コーディネーターって何してるお仕事なの??と良く聞かれるのと、もっと色んな人に「治験」について知ってもらいたい、そんな想いでブログを始めてみました(@´・ω・)

どうぞよろしくお願いします(●゚∀゚)ノ