2013年4月4日木曜日

色々な被験者募集方法 その3

切羽詰まった時の最終手段。

これは中間に業者を挟まず、製薬会社と病院だけでやります。

③ 募集のお手紙を出す場合

耳鼻科の鼻炎や皮膚科の湿疹等、ずーっと定期的に毎月通う患者さんがなかなか居ない場合に有効です。
(薬だけもらったらしばらく来ない等、定期来院が見込めない疾患)

調子悪いけど病院行くのがめんどくさい、薬があるから行かないという潜在候補患者さんを発掘するためのものです。

まず製薬会社がお手紙の案を考え、CRCや先生と相談して固定、これについてIRB(治験審査委員会)での審議依頼をします。

IRBでこの使用について問題ないと可決されれば運用スタート(切羽詰まってる割に発案から1~2カ月かかります)。

ここからはCRCが大変です。

院内のカルテを全部見て、該当する患者さんを探し回り、一人ひとりにお手紙や返信はがきをセットして発送…

私も過去に何百通と出したものです。

果たして成功率は。

結構問合せあるんですよ。ただ実際に組入れまで行くかどうかというと…厳しいものがあります。

色々な被験者募集方法 その2

治験に参加できそうな患者さんをプールしておく目的で、無料で健康診断を行い、その代わり結果の情報を下さいというビジネスがあります。

鼻炎や喘息、泌尿器疾患など様々です。

② WEB広告、WEBセンターの場合

WEBページを訪れると自分に当てはまりそうな疾患を選び、決められた日時に健診を受けに行きます。

ここで例えば鼻炎と診断されれば、今実施されている、近所の病院を紹介してもらえます。

治験参加の意思を示せば「候補患者」として施設担当者だけ閲覧できるWEBページに、個人情報が掲載され、CRCはそれを見て当人へ電話でコンタクトを取るという方法です。

もちろん本人が嘘を付いていないか、きちんと参加の意思があるのか、等はCRCに来る前に専門のコールセンターで何度かコンタクトを取り、確認しているとの事です。

色々な被験者募集方法 その1

最近では治験に参加してくれそうな患者さんを募集するため、広告をうつ製薬会社が増えました。

WEB広告だったり新聞やチラシ広告だったり。

広告で募集した患者さんを集約するため、製薬会社はコールセンター等の会社と提携する訳です。

① 新聞折込チラシ、コールセンターの場合

広告を見て、自分の症状に当てはまり、治験に参加してみようと思った人が、掲載されているコールセンターに電話します。

コールセンターでは、患者さんが治験に参加出来る基準を満たしているかを確認し、住んでいる場所等で通いやすい治験実施施設を紹介します。

病院の治験担当者(大抵が我々CRCです)へ患者さんから電話が来ます。
(個人情報保護の為、患者さんの電話番号は予め分からないようになっています)

電話が来る前に、CRCにはコールセンターからFAXで事前情報(聞き取った内容)が送付されてきます。

電話が来たら、受付番号等で本人確認をし、スケジュール等の詳しい説明、診断によっては治験に入れない事、最初にかかる費用等の説明をした上で来院希望日を聴取。それを病院に連絡し、決定した来院日を再度本人に伝えて終了。

あとは来院時に診察、数日後に診断が下り治験参加の基準を満たせばインフォームドコンセントをして同意取得、組入れとなります。

確定申告

3月。確定申告の時期です。

治験をすると病院としては収入が増えるので、税理士さんから先生、先生からCRCへ問合せが来る事も。

初回の研究費や登録症例分の出来高が計上されますが、厄介なのが「負担軽減費」です。

契約症例数×来院回数分の負担軽減費は、借入という形で大抵、最初に先生の口座に振り込まれるので、治験開始時に病院から製薬会社へ請求する請求書に、利益となる研究費等と一緒に掲載されることになります。
(負担軽減費の余った分は最後に製薬会社へ返却します)

税理士さんはこの請求書を見て、収入と判断する場合があるので、うっかり負担軽減費が収入ではない事を言い忘れないようにしなければいけません。
負担軽減費の項目だけ「非課税」となっているで、契約書などを読めば大体分かるのですがその辺のフォローも重要です。
(病院がその分多めに税金を払わなければいけなくなります)

昔はこの証拠として、負担軽減費の受領書を添付して提出していたそうなのですが、昨今では個人情報保護法等で領収書に記載されている患者さんのサインが宜しくないんだそうでやめています。

カットオフ

治験開始と共に全国各施設にて一斉に組入れがスタートします。
各施設は契約症例数を達成すべく、被験者候補への声掛けをしていきます。

CRCとしてはやはり早期承認に向け、一刻も早い組入れを目指すのですが。

試験毎に治験契約期間というものが定められているので、先生によってはまだまだ期間があるんだからと呑気に構える人もいます。

確かにそうなんですが、皮膚科や耳鼻科など比較的被験者集めが簡単な試験では出遅れるととんでもない事になってしまいます。

試験毎に全国で何例と枠が決められているのですが、製薬会社は保険をかけて目標の数よりも多めに施設に頼んでおくようです。
(全ての施設が契約症例数通りの組入れをするのはなかなか難しく…施設選定の時にこれだけ出来るとDr.から提示があっても、実際には患者がなかなか見つからないケースも多いのです)

症例が入る施設では契約症例数満了、さらに契約症例追加という流れになります。

一方、入らない施設はもうお役御免という事態も。

のんびりしていると、決められた契約症例数に満たないまま、全国的に組入れ終了の合図が出されてしまいます。
時間切れです。これをカットオフと呼んでいます。

これに対し、怒りだす先生も多々。こんなに頑張っているのに、しかもエントリー期限はまだまだ先、早すぎるしカットオフなんて聞いてない。急に言われても困る!もう治験しないとまで言い出す先生もいます。実際にエントリー期間は半年なのに、3カ月程で終わってしまうこともあります。
症例が入らない自分の施設が、落第生の様に感じるらしいです。

普通はモニターさんがこまめに連絡をくれればこんな事にはならないのですが、そうしてくれない場合はトラブルになります。

CRCとしても全国の進捗を週1で連絡する様言っておくなどの対策が必要だと感じます。