2013年3月4日月曜日

CRCのジレンマ

CRCは臨床試験の最前線で、新薬の申請に必要なデータを収集しています。

特にSMOのCRCというのは「患者さんに接する機会のあるサラリーマン」です。

SMOというのは前回も説明した通り、治験を実施する施設(体制整備やDr.、その他スタッフ)への指導やお手伝いなどに携わるサービス業なのですが、薬の開発元である製薬会社からお金をもらっています。
(SMOは我々が支援すると治験が簡単に早く進みますよ~と製薬会社に営業する訳です)

患者さんが1名治験に参加するとウン十万円の利益があります。
(もちろん病院にも同程度の収入があります)

企業に勤めている以上はやはり「利益の追求」が第1です。
しかし…業務に慣れていくうち、段々葛藤が生まれ出しました。

「この患者さん、本当に治験向きなのかな…」
「治したくて頑張ってるのに治験入って大丈夫かな…」
「あと1症例で契約達成…同意説明が保険の勧誘みたいになってる…」等

そう思う理由は…
◎治験はほとんどがプラセボ(偽薬)を使うので、それに当たったら可哀そう。
◎発売前の薬なんて、自分の家族だったら絶対すすめない。

って感じなのです…

実際この様なジレンマに悩まされ、薬剤師へ転職していった同期もいました。

でも…患者さんから薬飲んでから調子良くなったよ~とか、
あなたに会えるから病院来るのとっても楽しみ☆とか。
孫の様に可愛がってくれたり、時にはときめいてくれたり(相手はおじいちゃんです)。

何か騙してる気がする…そんな葛藤を抱えつつも患者さんに支えられて続ける事が出来ています。

3年目くらいになると、遅いんですけど気付きました。

我々CRCに葛藤なんて抱く権限は無いんだった!って。

私たちはあくまでもDr.の右腕です。Dr.が選んだ患者さんなんですから、治験が最もその人に向いている選択肢なんです。

私たちはDr.と一緒に選んだ患者さんに、何としても治験に入ってもらい、新薬を試してもらわないとダメなんです。

そこにはもちろん利益も伴う。でもそれはオマケに過ぎないんです。
一生懸命仕事頑張って、気付けばお金が付いてきた。

企業のサラリーマンも医療従事者も一緒です。

ちなみに利益追求(病気の治療よりデータ優先)と医療従事者(病気の治療に専念)のジレンマに悩む同期は薬剤師になっても悩んでいました。

結局薬局も利益追求が主です(ジェネリックへの変更を促す、備品のセールス等)。

このジレンマを自分の中で上手く処理していく事が必要なんですね。

それが無理ならNPO法人に所属するしか無さそうです。

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